将来著作権違反をするかもで、バーのピアノ撤去

ジャスラックが訴えた生演奏の店、「著作権侵害せず」とネット中継で証明するも…「将来するかも」とピアノ撤去&賠償命令@痛いニュース

著作権を侵害しているとして日本音楽著作権協会から申請された仮処分で、ピアノなどの演奏を差し止められた和歌山市内のレストランが、使用料を払う必要のないクラシックやオリジナル曲だけを演奏していることを証明するため、ネットで協会に演奏の中継を始めたところ、仮処分の抗告審では演奏を認める異例の決定が出された。協会はこれを不服として提訴。攻防が続いた訴訟の判決は、30日に言い渡される。

レストランは、和歌山市の「デサフィナード」。協会が2004年6月、著作権の管理を委託されている曲を演奏しているとして著作権使用料を求めたところ、経営者の木下晴夫さん(56)が「演奏のほとんどは著作権に触れないクラシックやオリジナル曲」と拒否した。
協会は同10月、大阪地裁に仮処分を申請。木下さんは「使用料の必要な曲は今後、一切演奏しない」と約束したが、地裁は05年4月、「演奏内容を確認するすべがない」と演奏を差し止める決定を出した。
これに対し、木下さんは曲目に問題がないことを示すため、店に音声付きモニターカメラを設置。演奏の様子をネットで流し、協会側にパスワードを知らせて常時確認できるようにした。
結果、抗告審では、大阪高裁が「曲を確認できる状態になった」として仮処分決定を取り消した。

協会の担当者は「演奏中止の仮処分が退けられたケースは聞いたことがない。オリジナルと称している曲も元の曲をアレンジしただけで、使用料は払うべきだ」と主張。翌10月、演奏の差し止めと、著作権侵害による損害金約250万円の支払いを求める訴えを大阪地裁に起こした。
木下さんは「仮処分決定が取り消されたのに、改めて演奏差し止めの提訴をするのは納得いかない。司法には正しい判断をしてほしい」と訴える。(一部略)
※以下、続報
判決が30日、大阪地裁であった。田中俊次裁判長は「将来的にも著作権侵害行為を続ける恐れがある」として演奏差し止めやピアノ撤去、損害金約190万円の支払いなどを命じる判決を言い渡した。(抜粋)
読売新聞 1月29日朝刊、1月31日朝刊

さて、ここでふと思ったことです。個人でピアノのレッスンをしている教室は、どの街にも必ず一軒は見受けるかと思います。もちろん、このピアノ教室でピアノを押している先生は当然、生徒からレッスン料を貰っています。

可能性として、その生徒から「この曲を弾きたい」と言って、著作権の切れていない曲が渡されることも有るでしょう。この時、先生は喜んでその曲の楽譜を探し、音源を調達して先生なりに勉強して、生徒にレッスンします。

ピアノ教室はレッスン料を取っていますから営利目的です。と言うことは、Jasracの規定する著作権に違反します。もちろん申請すれば済む話なのでしょうが… さて、街のピアノ教室のうちいったい何軒がそんなめんどくさい申請をしているんでしょうか? そして、この判決に習うならば、極端な話、申請をしていないピアノ教室のピアノは「将来著作権違反するかも」と言う理由からピアノを撤去させられてしまいます。今、生徒に教えている曲に一曲も著作権に引っかかるものが無くても、です。

それと、スタジオ練習でも、大半のコピーバンド著作権の切れていない曲を練習します。そして、スタジオはバンドからお金を貰っているので、これもJasracの定める規定にはひっかかるでしょう。「演奏する可能性が高い」としてスタジオのアンプも持っていかれるのでしょうか?

「将来的にも著作権侵害行為を続ける恐れがある」ではあまりにも判決の理由が納得いきません。その理由では、殆どの個人運営のレッスン室に対して、Jasracは無理やりお金を請求することができてしまいます。楽器を持っていると言う、ただそれだけの理由で。あってはならない判例であったと思いました。

著作権とは何か ―文化と創造のゆくえ (集英社新書)

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