ゲド戦記が嫌いなわけ

あれが初監督であるって部分を踏まえれば、まぁ仕方無いかなと許せる部分もあるし、実はそれほど悪い作品ってわけでもない。
# 良い作品でもないのだけれども

あれより悪い作品だって沢山ある。Shinobiとかアップルシードとか…

しかし、好き嫌いで言えばゲド戦記には好感を持てない。

もし、吾朗氏が同人活動のような、いわゆる趣味的なレベルでゲド戦記を作成し、細々と公開していたならまだ許せる範囲ではあったのだ。そう、許せる範囲なのだ。しかし、ゲド戦記は大量の広告をうち、世界配信してもらえるのだ。そこまでしてもらうというのにあの程度の駄作というのは、許しがたい。

いったい制作費にいくらかけてもらって、宣伝費にいくらかけてもらっているのか? 見に来るお客さんが費やした交通費と支払う入場料。トータルでどれほどになるか? 製作側にその自覚がどれ程あったのか聞きたい。そして、この程度のものを大々的にプッシュする会社… 大量に広告を打ち、興行的に成功させればそれでいいのかと。あまりにも客を馬鹿にしたプロモーションが腹立たしい。

Yahoo!!のムービーレビューで多くの人が感じている憤りは、そういう部分だ。そしてそれらの怒りは、その殆んどが作品の顔である吾朗氏に向けられている… 本人にしてみれば、相当な心の傷になるだろう。一生のトラウマになるだろうし、汚点にもなるだろう。

レビューが悪いといっているわけじゃない。むしろ、その反応は正常だし、予想もできたはずだ。しかるべき段階を積んでからの評価と言うものは、たとえ酷評であったとしても耐えられるし、次への糧になる。しかし、吾朗氏はプロフィールをよむかぎり、草の根での地道で辛いが楽しい経験を積んでいない。耐えれるだけの精神構造を作れてはいないはずだ。公開後に彼がうけつづける心の傷は…筆舌し難いものだろう…

馬鹿にされたのは客だが、それによって深い傷を刻まれたのは吾朗氏だ。興行の数字さえプラスになればいいのか? そのために誰を犠牲にしてもいいのか?

ジブリゲド戦記はその答えに「yes」と答えた。だからゲド戦記がここまで嫌いなんだと思う。